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すかがわデイズ

毎週金曜日、午後8時放送のウルトラFM「佐藤正彦の音楽図鑑Ⅲ」内で吉田工務店がお送りする、名曲紹介プログラム。


ウルトラFM

 
ULTRA FM | 須賀川市 地域コミュニティFM
http://ultrafm868.jp/

 
ウルトラFM – JCBAインターネットサイマルラジオ
https://www.jcbasimul.com/radio/1223/

 
 

すかがわデイズ オンエア曲リスト(2022-3Q)
回数 放送日 曲名 ミュージシャン 発売年

53

9/30

スパルタカス愛のテーマ ビル・エヴァンス 1963(S38)

52

9/23

POKKA POKKA フィッシュマンズ 1997(H9)

51

9/16

愛はきらめきの中に ビージーズ 1977(S52)

50

9/9

 ALRIGHT 竹内アンナ 2020(R2)

49

9/2

ラヴリー・デイ ビル・ウィザース 1977(S52)

48

8/26

SWEET MEMORIES 松田聖子 1983(S58)

47

8/19

Wedding Bell Blues フィフス・ディメンション 1969(S44)

46

8/12

雨にキッスの花束を 今井美樹 1990(H2) 

45

8/5

You Are Everything ダイアナ・ロス,マーヴィン・ゲイ 1973(S48)

44

7/29

眠りの森(feat.ハナレグミ) 冨田ラボ 2003(H15)

43

7/22

Work To Do アイズレー・ブラザーズ 1972(S47)

42

7/15

How Beautiful 土岐麻子 2009(H21)

41

7/8

オーヴァージョイド スティービー・ワンダー 1986(S61)

40

7/1

ピンク・シャドウ 山下達郎 1978(S53)

すかがわデイズ オンエア曲リスト(2022-2Q)
回数 放送日 曲名 ミュージシャン 発売年

39

6/25

 土曜日のかせきさいだぁ  かせきさいだぁ 1996(H8) 

38

6/17

 半分裸の王様 ジェリーフィッシュ 1990(H2) 

37

6/10

 上を向いて歩こう 坂本九 1962(S37) 

36

6/3

ロクサーヌ ポリス 1978(S53)

35

5/27

太陽にPUMP! PUMP! EPO  1991(H3)

34

5/20

Rain 秦基博 2013(H25)

33

5/13

フィロソフィー ベン・フォールズ・ファイブ 1995(H7)

32

5/6

十七歳の町 さだまさし 1988(S63)

31

4/29

A列車で行こう デューク・エリントン楽団 1941(S16)

30

4/22

Start Me Up ローリング・ストーンズ 1981(S56)

29

4/15

新しいYES Salyu 2010(H22)

28

4/8

I Like It デバージ 1982(S57)

27

4/1

ベイビィ・ポータブル・ロック ピチカート・ファイブ 1996(H8)

すかがわデイズ オンエア曲リスト(2022-1Q)
回数 放送日 曲名 ミュージシャン 発売年

26

3/25

ゲーム・オブ・ラブ サンタナ&ミシェル・ブランチ 2002(H14)

25

3/18

 RADIO 半沢武志(FreeTEMPO) 2009(H21)

24

3/11

Don't Know Why ノラ・ジョーンズ 2002(H14)

23

3/4

 突然の贈り物 大貫妙子 1978(S53)

22

2/25

Just the Two of Us グローヴァー・ワシントン Jr. 1981(S56)

21

2/18

 やさしさにGood-Bye

村田和人

1983(S58)

20

2/11

 Valentine's RADIO

松任谷由実

1989(H1)

19

2/4

 青春の輝き

カーペンターズ

1976(S51)

18

1/28

More Today Than Yesterday 

スパイラル・ステアケース

1969(S44)

17

1/21

あたらしい朝

アン・サリー

2010(H22)

16

1/14

You Make Me Feel Brand New 

スタイリスティックス

1973(S48)

15

1/7

NEW SONG 

矢野顕子

1995(H7)


すかがわデイズ オンエア曲リスト(2021-4Q)
回数 放送日 曲名 ミュージシャン 発売年

14

12/31

L-O-V-E  ナット・キング・コール 1964(S39)

13

12/24

シーサイド ステート

つじむらゆみこ

2011(H23)

12

12/17

恋の十戒

ザ・ムーングロウズ

1959(S34)

11

12/10

人生の扉

竹内まりや

2007(H19)

10

12/3

スペイス・オディティ

デヴィッド・ボウイ

1969(S44)

9

11/26

ナイトクルージング

フィッシュマンズ

1996(H8)

8

11/19

瞳の中の愛/I Saw the Light

トッド・ラングレン

1972(S47)

7

11/12

頬に夜の灯

吉田美奈子

1982(S57)

6

11/5

Wanted Dead Or Alive

BON JOVI

1986(S61)

5

10/29

 夢を見る人

オリジナル・ラブ

1995(H7)

4

10/22

ヴェンチュラ・ハイウェイ

アメリカ

1972(S47)

3

10/15

真夜中のドア〜Stay With Me

 松原みき

1979(S55)

2

10/08

I Wish You Love

アン・サリー

2003(H15)

1

10/01

すてきなメロディー

シュガー・ベイブ

1975(S50)


 
スパルタカス愛のテーマ/ビル・エヴァンス
 1960年のアメリカ映画「スパルタカス」のテーマソングです。カーク・ダグラス(マイケル・ダグラスの父親)が自らの製作総指揮・主演で
映画化した歴史スペクタクル映画です。
 この曲が収録されているビル・エヴァンスのソロ・ピアノ・アルバム『自己との対話(Conversations with Myself)』は、彼が多重録音を駆使して創りあげた"ひとりピアノ・アンサンブル"。この曲でも、星屑が降り注いでいるようなピアノの多重録音が、比類なき美しさを作り上げています。アルバムは1964年のグラミー賞ベスト・ジャズ・アルバム賞を受賞しました。
 さて、2021年10月からお送りした名曲紹介コーナー「すかがわデイズ」は、本日が最終回。単なる音楽好きの一市民であるわたくし吉田が、佐藤正彦さんのサポートをいただきながら、「音楽が好き」という気持ちだけで一年間にわたり世界の名曲・名盤とその聴きどころを紹介してまいりました。これまでコーナー及び番組をお聴きいただき、誠にありがとうございました。今後も引き続き、佐藤正彦さんの音楽図鑑Ⅲをお楽しみください。(2022.09.30放送)
 
POKKA POKKA/フィッシュマンズ
 1997年にリリースされたアルバム「宇宙 日本 世田谷」のオープニングを飾る曲です。
 レゲエやダブを基調とした力強いビートの上に、佐藤伸治のヴォーカルや、エレクトロニカなエフェクトが重なり、独自の浮遊感あるサウンドを構築し続けた彼ら。その中では、何も起きない日常の風景や、都市居住者が突きつけられる孤独や疎外感といったものが歌われています。
 
  心の揺れを静めるために 静かな顔をするんだ
  真赤な眼で空を見上げて 静かな顔をするんだ
  ポッカリ空いた心の穴を 少しずつ埋めてゆくんだ
  ぼんやり決まった空に君を 大きく思い描いて
 
 地方都市の大学に入学し、悲願だったはずの一人暮らしを始めた私を待っていたのは、まさに都市居住者の感じる孤独や疎外感でした。親元を離れ、毎日自分の思うままに自由に過ごせるはずでしたが、現実はまったく違いました。まさに「モラトリアムの闇」をさまよう日々。フィッシュマンズの曲は、当時二十歳そこそこの自分自身が感じていた複雑な心情を強烈に呼び起こしてくれます。私自身を投影した自分の血のような曲であり、折に触れ一生聴き続ける曲なのだろうなという気がします。(2022.09.23放送)
 
愛はきらめきの中に/ビージーズ
 「How Deep Is Your Love」というサビでよく知られる、ビージーズの傑作。
 ビージーズは、イギリス人のギブ三兄弟を中心に構成された男性ボーカルグループ。1963年にオーストラリアでレコードデビューし、1973年からは米国を中心に活動しました。
 1960年代前半から息の長い活動を続け、「ラヴ・サムバディ」、「マサチューセッツ」、「メロディ・フェア」、「若葉のころ」、「イン・ザ・モーニング」、「ホリディ」、「ジョーク」、「傷心の日々」、「ラン・トゥ・ミー」、「ブロードウェイの夜」、「獄中の手紙」、「ステイン・アライヴ」など、数多くの名曲を発表しました(Wikipediaより)。
 私にとって馴染み深いのは、ボーカルグループ「TAKE THAT」により1996年に発売された「愛はきらめきの中に」のカバー。イギリス出身の彼らは当時世界的な人気で、私が学生時代によく読んでいた雑誌「INROCK」には毎号必ずTAKE THATの写真記事が掲載されていました。この「INROCK」という雑誌、スナップショットのような、あるいはバックステージで撮影したような、ライティングや構図の甘い写真が多く、誌面デザインもいかにもティーンに受けそうなポップな作りで、独特のカジュアルな雰囲気を持つおもしろい雑誌でした。もう20年以上も購入していませんが、現在も発行が続いているそうです。(2022.09.16放送)
 
ALRIGHT/竹内アンナ
 竹内アンナさんは、1998年4月25日生まれ。24歳のシンガー・ソングライターです。アメリカ合衆国ロサンゼルスで生まれ、京都府で育ち、現在は東京都在住。
 この曲はFMラジオ曲でパワープレイされていた時期があり、私もその時に竹内アンアさんとこの曲を知りました。
 声質がよいです。英語の発音も自然です。ギターも上手。まだ若いので、今後どんな風にキャリアを重ねていくのか、とても楽しみです。
 ご自身のYouTubeチャンネルでも、見ごたえのある動画がたくさん公開されています。(2022.09.09放送)
 
ラブリーデイ/ビル・ウィザース
 非常に特徴的なベースのフレーズで曲が始まります。このイントロを聞くだけで幸せな気持ちになれますね。「憂鬱な気分で目覚めた朝も、君を一目見るだけで素敵な一日になると確信するのさ」という歌詞も素敵です。
 
 ビル・ウィザース(1938年7月4日 - 2020年3月30日)は、アメリカ合衆国ウェストバージニア州出身のシンガーソングライター。1971年に「エイント・ノー・サンシャイン」(邦題:消えゆく太陽)でデビューしました。「リーン・オン・ミー」や「ラブリーデイ」などのヒット曲で知られています。1981年には、以前すかがわデイズでもご紹介したグローヴァー・ワシントン・ジュニアの「クリスタルの恋人たち」(ビルはボーカリストとして参加)がシングルカットされ、全米2位を記録しました。
 
 1960年代末から音楽活動を開始し、1980年代中期頃には引退してしまいます。しかし、グラミー賞ノミネートは計6回を数え、そのうち3回を受賞。アルバム3枚、シングル3枚が、ゴールドディスク認定されています。(2022.09.09放送)
 
SWEET MEMORIES/松田聖子
 「わしかて大人の恋してまっせ」という歌です。1983年にリリースされたシングル『ガラスの林檎/SWEET MEMORIES』の、いわゆるB面曲でした。作詞は松本隆さん、作曲・編曲は大村雅朗さん。
 シンセのイントロは、YMOの多くのアルバム・レコーディングや世界ツアーにマニピュレーターとして参加し「4人目のYMO」と呼ばれた松武秀樹さんによるものです。
 サントリーCANビールのCMソングに起用されたことで注目が集まりました。カールおじさんで知られるアニメーター、ひこねのりおのデザインによる愛らしいペンギンが歌うアニメーションCMはよく知られています。ナレーションの「泣かせる味じゃん」というセリフは、所ジョージによるものです。なんて懐かしいのでしょう!
 抜群の美貌と歌唱力、スター性を備えたスーパーアイドルである松田聖子さんに、松本隆さんや細野晴臣さん、大村雅朗さんをはじめ日本の音楽シーンに燦然と輝くトップクリエイターたちが曲や詩を提供しアレンジを施すことで、松田聖子さんは素晴らしい音楽を次々とリリースし続けました。私はこれを「神々の遊び」と呼んでいます。松田聖子さんとそれを支えるミュージシャンが1980年からブラウン管を通じて私たちにかけた魔法が、令和の時代に至るまで未だに解けず私たちを魅了し続けている、そんな気がするのです。
 
 本日は音楽図鑑Ⅲの番組ゲストとして、1時間出演させていただきました。お送りした曲は、前半が佐藤正彦さん、後半が吉田による選曲でした。
 
  浜辺/つじむらゆみこ
  部屋とワイシャツとわたし/平松愛理
  やさしい気持ち/Chara
 
  SWEET MEMORIES/松田聖子(※すかがわデイズ)
 
  幸せになろう/沢田知可子
  DAVID/矢野顕子
  KISS ME/シックスペンス・ノン・ザ・リッチャー

「部屋とワイシャツとわたし」は、平松愛理さんの最大のヒット曲。改めて聴くと、やはり歌詞が秀逸です。若い世代の方にも、ぜひ聴いて頂きたいですね。(2022/09/02放送)
 
Wedding Bell Blues/フィフス・ディメンション
 「そろそろ結婚ちゅう決め手が欲しいな」と女性が歌う名曲です。
 
 フィフス・ディメンションは、1966年から現在まで活躍し続けているアメリカのコーラス・グループ。元々はローラ・ニーロが1966年に発表したデビュー・シングルを、1969年にフィフス・ディメンションがカバーして全米チャート1位を記録しました。
 
  Bill, I love you so, I always will
  I look at you and see the passion eyes of May
  Oh, but am I ever gonna see my wedding day
  I was on your side Bill when you were loosin'
  I never scheme or lie Bill, there's been no foolin'
  But kisses and love won't carry me till you marry me Bill

  ビル あなたを愛してる いつまでだって
  あなたを見ると 5月のときめきを感じる
  ああ けれど私は結婚式の日を迎えられるのかしら
  ビル あなたが落ち込んていたときも
  わたしはあなたの味方だった
  企みや嘘などあるはずもない 私はいつも真剣だった
  だけど キスや愛だけでは足りないの
  結婚という決め手がほしいのよ ビル
 
 この曲を書いたローラ・ニーロは、当時19歳でした。若いのにこのような曲を描いてしまうとは、驚きです。私がこの曲を知ったきっかけは、映画「マイガール」のサウンドトラックです。このサントラは名曲揃いでした。テーマソングのマイ・ガール(ザ・テンプテーションズ)、モア・トゥデイ・ザン・イエスタデイ(スパイラル・ステアケース)、アイ・ソー・ザ・ライト(トッド・ラングレン)、アイズ・フォー・ユー(ザ・フラミンゴス)など、学生のとき夢中になって聴いたアルバムです。(2022/08/19放送)
 
雨にキッスの花束を/今井美樹
 8月は女性目線の恋の歌を特集しています。「雨にキッスの花束を」は、「こいつ、やっとプロポーズしよったで」という内容の歌。1990年8月発売のアルバム「retour(ルトゥール)」に収録されています。作曲はKANさん。シングルカットこそされていませんが、テレビアニメ「YAWARA!」のエンディングソングだったので、よく知られています。
 今井美樹さんは、女優のイメージも強いですが、素晴らしいシンガーでもありますね。瑞々しく、透き通るような、実に魅力的な歌声です。そして、この曲も素敵です。クリアトーンのギターバッキングがとても効いているし、うねるようなシンセのサウンドやドラムのフィルインのパターンも楽しく、歌詞もコミカルでかわいいという、何度聴いても飽きない佳曲です。
 今井さんと言えば、出演していたTBSドラマ「想い出にかわるまで」を、子供のころ夢中で見ていました。エリートサラリーマン・高原直也(石田純一)との職場結婚を間近に控えた主人公・沢村るり子(今井美樹)が、些細な心のすれ違いから結婚を延期する間に、妹の沢村久美子(松下由樹)に結婚相手の高原を奪われるという、非常に辛く重たいストーリー。毎週妹と観ていましたが、はじめはこたつの対面に座ってテレビを見ている二人が、そのうち両者ともパタンと横になっていたのは、互いに泣き顔を見られるのが嫌だったからです。(2022/08/12放送)
 
You Are Everything/ダイアナ・ロス,マーヴィン・ゲイ
 8月は「女性目線の恋の歌」をご紹介します。この曲は、ダイアナ・ロスとマーヴィン・ゲイによるデュエット。「あんたが全てやで」という思いをストレートに綴ったカバー曲です。
 オリジナルはスタイリスティックスによる1971年のアルバム「The Stylistics(1971年)に収録。ダイアナとマーヴィンによるこの曲は、それから2年後の1973年に発売されました。アメリカではシングルカットされず、イギリスで大ヒットしたそうです。
 昔々の話ですが、私の友人は夜中ほろ酔いで自転車にのり帰宅する途中、バランスを失って転倒し、顔を打撲したそうです。そういうときはスローモーションになるらしく、体が傾いて地面がゆっくりと顔に近づき、ぶつかるまでの間、マーヴィン・ゲイのWhat's Going Onが流れたのだとか。映画のような美しいシーンだと感じました。(2022/08/05放送)
 
眠りの森(feat.ハナレグミ)/冨田ラボ
 2003年2月5日リリースのアルバム「Shipbuilding」に収録されています。
 ハナレグミは、名曲「サヨナラCOLOR」でも知られるSUPER BUTTER DOG(2008年9月解散)のボーカル、永積タカシ(ながづみ たかし)さんのソロユニット。「キッチンにはハイライトとウィスキーグラス」という歌い出しの「家族の風景」は、大好きでよく聞きました。

  まどろんでるよ ぼくの手を枕に
  痺れた手を1ミリづつ そっと引き抜く
  息が漏れるくちびるが可愛い
  目覚めてると 憎まれ口ばかりだけどね

 恋人同士で過ごす、とろけるような甘美な時間。映像が浮かんでくるような、みずみずしい情景描写は、作詞家・松本隆さんによるものです。(2022.07.29放送)
 
Work To Do/アイズレー・ブラザーズ
 1972年のアルバム「Brother, Brother, Brother」に収録されている「Work To Do」です。
 
  I'm taking care of business, woman can't you see
  I've gotta make it for you and gotta make it for me
  Sometimes it seems girl I'm neglecting you
  Well I'd love to spend more time
  I got so many things to do
 
  俺はやるべきことをしている
  お前にはわからないのだろう
  これはお前のためでもあり
  そして俺自身のためでもあるのさ
  お前は思うかもしれない
  俺にないがしろにされているのではと
  俺だって時間を作りたいさ
  けどやらなきゃならないことが多すぎる
 
 まだ家族が布団の中ですやすや眠る休日の朝。家族を置いて一人仕事に向かうときの、私のアンセム。ファンキーでグルーヴィーで、とにかく元気になる曲です。
 私がアイズレー・ブラザーズを知ったきっかけは、SUBURBIAの橋本徹氏によるFree Soul関連のコンピレーション・アルバムでした。「メロウ・アイズレーズ」と「グルーヴィー・アイズレーズ」というアルバムには、著名なミュージシャンにカバーされたり、サンプリングされている名曲がずらり。とりわけ「グルーヴィー・アイズレーズ」の一曲目に収録されているライブ・バージョンの「Work To Do」は、出色の 出来栄えです。(2022.07.22放送)
 
How Beautiful/土岐麻子
 シンバルズというバンドのリードシンガーとして1997年にデビューした土岐麻子さん。バンドは2004年に惜しくも解散してしまいますが、ソロ転向後はCMのナレーションなどを含め、ますます活躍の場を広げています。
 How Beautifulは、2009年のアルバム「TOUCH」に収録されています。作曲を担当したのは、シンガーソングライターのさかいゆうさん。さかいさん自身のデビューシングル ストーリー 」には、この曲のセルフカバーが収録されています。 歌詞をみてみましょう。
 
  もしかしたら砂漠 海の底
  ここはいまきっと
  世界の一番果て
  ラクダにも魚にも なれないから
  ときどき息の仕方を忘れる
 
 好きな人の隣にいることができない苦しさを、土岐さんは独特の感性で歌詞に綴りました。「How Beautiful」と詠嘆しているのは、「なつかしい君のとなりから、ともに見る世界」です。異世界を旅しているかのような不思議な雰囲気をまとう、とても美しい曲です。(2022.07.15放送)
 
オーヴァージョイド/スティービー・ワンダー
 泣く子も黙る天才ミュージシャン、スティービー・ワンダーによるシングル作品。1985年のアルバム『シークレット・ライフ』に収録されています。
 すかがわデイズのトーク部分でも触れましたが、曲中で「環境パーカッション」として鳥のさえずりや虫の鳴き声、水の音などの音源が巧みに使われており、幻想的な雰囲気を作り上げています。
 ところで、スティービー・ワンダーの「I Just Called To Say I Love You」は、もともと1979年に「ブレッド&バター」に提供されたのだそうです。ところが発売目前にスティービー側から「先に発売させてほしい」と申し出があり、発売は中止に。その後ようやく許可が降り「ブレッド&バター」によって「 特別な気持ちで」というタイトルでリリースされました。同作品の作詞は 松任谷由実さん、編曲は細野晴臣さんです。(2022.07.08放送)
 
ピンク・シャドウ/山下達郎
 11年ぶりにアルバム「Softly」を発売し、近ごろテレビやラジオ、雑誌などでひんぱんに取り上げられている、山下達郎さん。この「ピンク・シャドウ」は1978年発売の2枚組ライブアルバム「IT'S A POPPIN' TIME(イッツ・ア・ポッピン・タイム)」に収録されています。原曲は、ブレッド&バターによる1974年の作品です。
 
  満月が僕の姿を 公園の
  円卓の大理石にくっきり映し出し
  僕は月と僕等の 三つの関係の
  謎掛け言葉を考えて立っていた
 
 アルバムは、1978年3月8日と9日、六本木「ピット・イン」でライブ・レコーディングされました。会場の空気をそのまま閉じ込めたようなアルバムには、名だたるバックミュージシャンによる演奏が織りなす、果たし合いのような緊張感が収められています。参加ミュージシャンは以下の通り。
 
  山下達郎:Lead Vocal & Electric Guitar
  村上 ”PONTA” 秀一:Drums
  岡沢章:Bass
  松木恒秀:Electric Guitar
  坂本龍一:Keyboards
  土岐英史:Alto Sax & Soprano Sax
  伊集加代子:Background Vocals
  吉田美奈子:Background Vocals
  尾形道子:Background Vocals
 
 当時は過去2枚のアルバム(「サーカス・タウン」と「スペイシー」)のように予算をかけられない状況であり、「経費があまりかからないライブアルバムが最善の策」という判断から本アルバムの製作が実現したとか。何にせよ、今から44年も前に東京で行われた奇跡のようなライブに、今日も参加できる喜びを、一人かみしめるのです。(2022.07.01放送)
 
土曜日のかせきさいだぁ/かせきさいだぁ
 かせきさいだぁは、1968年9月26日生まれのヒップホップアーティスト/ラッパーです。はっぴいえんどや松本隆のトラックや歌詞の引用、梶井基次郎の檸檬など日本の文学作品への傾倒が特徴的です。
 この曲は、1996年9月発売のアルバム「かせきさいだぁ≡」に収められています。 歌詞の一部をご紹介しましょう。
 
  時間の止まった喫茶店で 一人で席について
  ボクはさいだぁの泡が昇っていくのを 眺めて眺めて時間は流れて
  そしてさいだぁは溢れ 表の道までサァーッと広がって
  街をさいだぁが浸して ボクまで満たして
  キミに向かって泳いでいく ボクはイルカのようだよ
  時間を遡り会いにいくよ
 
 まるで夢を見ているかのようなこの情景、ついニヤニヤしてしまいます。頬をなでる冷たい風に身震いしそうな初冬の曲も、過ぎゆく夏を惜しむじっとりと湿り気のある曲も、アルバムに収録されているすべての曲が、誰の心にもある日本の四季の情景を鮮やかに描き切っています。(2022.06.24放送)
 
半分裸の王様/ジェリーフィッシュ
 アメリカのパワーポップバンド、ジェリーフィッシュによる「半分裸の王様」です。中心メンバーは高校の同級生であるアンディ・スターマーとロジャー・マニング。バンドはこの二人によって1989年に結成され、メンバーの加入や脱退を経て計2枚のスタジオアルバムを発表したのち、1994年には解散してしまいます。
 アンディ・スターマーは、パフィーの名付け親としても知られ、彼女たちのプロデュースも手掛けています。自身のバンドのライブでは立ったままドラムを叩きながらメインボーカルとして歌唱をするアンディ、そのインパクトは強烈です。
 イントロから勢いよくかき鳴らすギターのフレーズが気持ちいい曲ですが、それに負けず劣らず、ドラムのパターンも印象的です。しかもあらゆる楽器が鳴る中でドラムの音量バランスがやけに大きい。ドラマーでもあるアンディがミックスしたのではないかと邪推しています。
 以前テレビを見ていた時、クラゲを取り上げるコーナーの導入部に(何の説明もなしに)ジェリーフィッシュの曲が流れたことがあり、思わずニンマリとしてしまいました。
 こんなこともありました。テレビから「♪まわれ まーわれ メリーゴーラウンド」という歌詞で始まる久保田利伸さんの曲が流れてきたので画面に目をやると、回転すしのお店を紹介するシーンでした。とても秀逸な選曲だと感心しました。(2022.06.17放送)
 
上を向いて歩こう/坂本九
 6月10日は中村八大先生の命日。今日ご紹介するのは、坂本九の「上を向いて歩こう」(英題:SUKIYAKI)です。作詞は永六輔、作曲は中村八大です。
 アメリカのビルボード誌において、1963年6月15日付でHot 100週間1位を獲得、同誌の1963年度年間ランキングでは第10位にランクインしました。後に数多くのアーティストによってカバーされた、世界で愛される名曲です。
 中村は、この他に『こんにちは赤ちゃん』、『遠くへ行きたい』、『明日があるさ』など、多くのヒット曲を世に送り出しました。ちあきなおみのカバーでも知られる水原弘「黄昏のビギン」の作曲も、中村八大の手によるものです。(2022.06.10放送)
 
ロクサーヌ/ポリス
 サビの歌詞が「ろく、さーん」と聞こえますよね。6月3日にちなんでロクサーヌをご紹介します。アルバム『アウトランドス・ダムール』に収録されています。
 レコーディングの最中、スティングは誤ってスタジオにあるキーボードの上に座ってしまい、その結果曲の最初にピアノの不協和音とスティングの笑い声が収録されています。曲のイントロが始まったらすぐに聞こえるので、みつけてみてください。
 ロクサーヌという娼婦に恋をしてしまい、彼女にその世界から抜け出すよう促す曲です。イギリスのBBCは当初、娼婦との関係を歌ったこの曲を放送禁止にしました。
 「冒頭数秒間はマスターテープの回転速度が等速に到達せず、ややピッチが下がっている」とありますが、私は音楽配信サービスなどで音源を何度聞いても、ピッチのズレがまったくわかりません。みなさんはいかがですか。
 とにかく鳴っている音の数が少なく、シンプル。にもかかわらず、わたしたちを大いに魅了します。(2022.06.03放送)
 
太陽にPUMP! PUMP!/EPO
 1986年にコカ・コーラのイメージソングとして使用された曲です。当時私は11歳でしたが、今でもCMで使われていたサビのメロディをはっきりと覚えています。若く健康的な男女がプールサイドで踊り、高飛び込みをし、シンクロナイズドスイミングに興じる映像は、「コカ・コーラ」ブランドの確立に大いに寄与したことでしょう。YouTubeでもこのCM映像を見ることができます。
 EPOは1980年、シュガーベイブ「DOWN TOWN」のカバー曲でデビュー。このデビュー曲や「土曜の夜はパラダイス」は、TV番組「オレたちひょうきん族」のエンディング・テーマに起用されました。また、化粧品のキャンペーンCMソング「う、ふ、ふ、ふ」など話題曲を次々とリリースし、竹内まりや、大貫妙子らと並び「RCA三人娘」の一人と称されました。(2022.05.27放送)
 
Rain/秦基博
 オリジナルは大江千里さんの1988年のアルバム「1234」に収録されています。秦基博さんによるこのカバーは、2013年5月に公開された新海誠監督のアニメーション映画「言の葉の庭」のエンディングテーマに使用されました。
 不器用な若い「僕」は、自分の感情のままに女性を傷つけてしまいます。諦めきれない思いから、どしゃ降りの雨の中で走り去るその女性を追いかける「僕」。誰もが急いで行き交う街では、二人のことを気に留める人はいません。衝動にかられて外へと飛び出したこの二人だけが、群衆の中で冷たい雨に打たれ続けています。
 思い通りにいかぬ恋を綴った、大江千里さんによるマスターピース。その儚い世界観と美しいサウンドを堪能してください。(2022.05.20放送)
 
フィロソフィー/ベン・フォールズ・ファイブ
 古今東西、様々なスリーピースバンドが活躍していますが、ベン・フォールズ・ファイヴはその中でも少数派の「ギタリストのいない」スリーピースバンドです。
 アメリカはノースカロライナ出身。バンドは1994年に結成され、2000年11月に解散しています。フロントマンはピアノとヴォーカルのベン・フォールズ。ドラムとベースのメンバーもコーラスを担当し、力強く美しいメロディーを生み出します。
 収録されているデビューアルバムの帯に書かれているのは「泣き虫野郎のパンクロック」というキャッチフレーズ。代表曲である「フィロソフィー」は、思い通りにいかない他者の存在に見切りをつけ、己のフィロソフィーを信じて突き進む、という歌詞。困難の中にありながらも猛烈な意地や信念を感じさせる歌です。
 序盤から抑揚のある演奏により曲はドラマチックに展開し、終盤のピアノ・ソロではラプソディ・イン・ブルーのフレーズを伴ってクライマックスへ。ベンの声質はとても魅力的で、曲のテーマにもピッタリです。(2022.05.13放送)
 
十七歳の町/さだまさし
 さだまさしさんの「十七歳の町」は、1988年のアルバム「風待通りの人々」に収録されています。私は、カーラジオからこの曲が流れてきたとき、すぐにこの曲のとりこになりました。
 伴奏はとてもシンプルで美しい。ベースがスタッカートで低音を刻み、ギターとピアノもシンプルなストロークを終始繰り返します。まるで、恋人同士がとぼとぼと並んで歩くようであり、まさにこの曲の世界観を表現したものです。
 主人公の「僕」はある日、かつての恋人とエレベータの中でとつぜん再会します。驚くべきことに、そのとき彼女は純白の花嫁衣装に包まれていました。すぐに気づいた彼女は、どぎまぎする僕に対しておだやかに笑いかけます。それは、二人が互いを大切に思っていたあの頃と変わらぬ、優しい微笑みでした。
 懐かしくて、よく練られていて、少しだけコミカルな歌詞とアレンジ。さださんらしい、温かい気持ちになる曲です。(2022.05.06放送)
 
A列車で行こう/デューク・エリントン楽団
 言わずと知れた、ジャズのスタンダードナンバーです。デューク・エリントン楽団のピアニスト、ビリー・ストレイホーンが作詞・作曲を担当しました。
 仙台に、定禅寺ストリートジャズフェスティバルというイベントがあります。ジャズフェスの愛称で市民に愛されています。ジャズはもちろんのこと、ロックやポップスなどあらゆるジャンルのバンド演奏が、定禅寺通りとその周辺で繰り広げられ、街が音楽に包まれるという、素晴らしいイベントです。
 私が見に行っていた頃は、勾当台公園にひときわ大きなステージが設けられ、決まってビッグバンドによるジャズの演奏が行われていました。ちょうど日が傾いて街に灯りがともる時間帯に、晩夏の 生暖かい風を感じながら聴いたムーンライト・セレナーデの迫力ある演奏の情景は、今も忘れることができません。(2022.04.29放送)
 
Start Me Up/ローリング・ストーンズ
 ギターのリフが印象的なこの曲は、ストーンズにとっての代表曲とも言えるものです。Windows 95のCMソングとしても知られています。
 Steel Wheelsツアーの東京ドーム公演の模様は、当時日本テレビのゴールデン枠で放送されました。それにしても、何というバンドでしょう。地上波のゴールデン枠で単独ライブのステージが放映される海外バンドなんて、想像できますか。
 当時の私は、ストーンズの熱心なファンというわけではありませんでしたが、歴史的な出来事を記録しておこうとライブ番組をVHSテープに録画し、ツメを折って永久保存版にしました。ライブの一曲目、ドーム内部で花火が爆発し、その残響音にかぶせるようにStart Me Upのギターリフが鳴って、会場のボルテージが一気に最高潮に達します。最高に気持ちの良い瞬間です。
 
The Rolling Stones - Start Me Up - Official Promo
 
 永久保存版にしたはずのVHSテープは、なぜか行方知れずです。(2022.04.22放送)
 
新しいYES/Salyu
 Salyuによる13枚目のシングル。プロデュースは小林武史さん。
 新しいYESとは、何のことなのでしょうか。歌詞が少し難解に感じますが、抽象的なこのフレーズは聞き手による様々な解釈の余地を残しています。
 そして、生命力を感じさせる伸びやかなヴォーカルです。減衰せずにどこまでも届くのでは、そんな惚れ惚れするような歌唱です。
 2016年に福島空港で開催された「ふくしま おおぞらフェスタ2016」にも来てくれました。キーボードの伴奏で、名曲『to U』など計4曲を歌ったSalyu。澄んだ歌声が地元福島の空に広がり溶けていく、まさに夢のような音楽体験でした。(2022.04.15放送)
 
I Like It/デバージ
 シンプルなドラムから始まるイントロ。すぐさま物悲しい主旋律を奏でるホーンセクション。打楽器のようにコードを繰り返し叩くピアノ。力強くうねるベース。バラエティに富むハーモニーアレンジ。女性への一途な思いをまっすぐに綴る歌詞。ファルセットも美しい、エル・デバージによるハイトーンのヴォーカル。何もかもが美しく鳴っている、驚愕の4分40秒です。
  I've been thinking about you for quite a while
  (いつもあなたのことを考えている)
  You're on my mind everyday and every night
  (昼も夜も、毎日あなたのことを思っている)
  My every thought is you, the things you do
  (考えるのはあなたのことばかり あなたのしぐさが)
  Seems so satisfying to me, I must confess it, girl
  (ぼくを幸せにする あなたにこの気持ちを伝えなければ)
  Ooh... and I like it
  (あなたのことが好き)
  You send chills up my spine every time I take a look at you
  (あなたをみるといつも 背筋がぞくっとする)
  Ooh... and I like it
  (あなたのことが好き)
  Girl, you're blowing my mind with the things you say to me
  (あなたが僕に話しかけるたび 僕はどうにかなってしまいそう)
 最高の一曲です。I Like It!(2022.04.08放送)
 
ベイビィ・ポータブル・ロック/ピチカート・ファイブ
  春なのにデートもしないの?
  Baby 不思議じゃない?
  いますぐに家まで迎えに
  Baby 来てくれない?
  電話して少し甘えてみたのは
  この恋が本当の恋か知りたくなったの
 長い冬がその終わりを告げ、テレビを通じて日々桜の便りが届く、そんな季節になりました。温かな日差しが見慣れた景色の明度と彩度をぐっと引き上げることで、春の訪れを実感する毎日。印象的なリフとリズミカルな旋律、強烈なビートが織りなすこの曲の世界線に、胸の高まりを抑えることができません。
 ゲイリー・ルイス&プレイボーイズの「GREEN GRASS」へのオマージュ作品と言われています。興味があれば、こちらも聞いてみてください。(2022.04.01放送)
 
ゲーム・オブ・ラブ/サンタナ&ミシェル・ブランチ
 ミシェル・ブランチをヴォーカルに迎えたサンタナの曲。2003年のグラミー賞受賞曲です。
 ミシェルの心地よいヴォーカルと、サンタナのまとわり付くような「合いの手ギター」の掛け合いが心地よい。全編にわたり続くハンドクラップもたまりません。
 ハンドクラップ。アイズレー・ブラザーズの「ハーベスト・フォー・ザ・ワールド」や、エモーションズの「ベスト・オブ・マイ・ラブ」など、ハンドクラップが入る曲を聴くと、つい「アゲアゲ」になります。
 名前のミシェルは、ビートルズのファンである両親が、彼らの曲名から付けたそうです。(2022.03.25放送)
 
RADIO/半沢武志(FreeTEMPO)
 ジュディ・アンド・マリーのデビュー15周年を記念して、2009年にオムニバスのトリビュートアルバムが制作されました。この中に収録されているのが、半沢武志さんによる「RADIO」のカバーです。ヴォーカルは、シンガーソングライターのSAWAさん。本人が歌唱している「♪パッと!ピッと!プロミス」のサウンドロゴも有名ですね。
 半沢さんにより緻密に作りこまれた超絶かっこいいサウンドと、それに相性ピッタリなSAWAさんのキュートなヴォーカル。オリジナル曲の魅力が何倍にも増幅された、最高のカバー曲です。(2022.03.18放送)
 
Don't Know Why/ノラ・ジョーンズ
 2003年の第45回グラミー賞において、デビューアルバム 「Come Away With Me」や楽曲「Don't Know Why」など、ノミネートされた関連8部門すべてにおいて受賞を果たしたノラ・ジョーンズは、その年のグラミーの顔となりました。
 2007年には、ウォン・カーウァイ監督による彼女の主演映画「マイ・ブルーベリー・ナイツ」が公開されました。当時の私は、ピアノやヴォーカルに加えて、演技もできるのかと驚き、当時DVDを借りたことを覚えています。ジュード・ロウやナタリー・ポートマンなど、共演俳優も豪華な映画です。
  Something has to make you run
  (なぜかあなたは逃げ出したの)
  I don’t know why I didn’t come
  (どうして私は追いかけなかったのだろう)
  I feel as empty as a drum
  (まるでドラムのように空っぽな気持ち)
  I don’t know why I didn’t come
  (どうしてあなたを迎えに行かなかったのだろう)
 ジャジーでゆったりとした曲調に、哀愁を帯びたヴォーカル。若く美しい才能を、存分に堪能してください。(2022.03.11放送)
 
突然の贈り物/大貫妙子
 1978年のアルバム「ミニヨン」の収録曲。「ミニ四駆」ではありません。私にとっては、矢野顕子さんのアルバム「ピアノ・ナイトリィ」に収録されているカバーで初めて知った曲です。
 甘い香りを放つ花束が、ある日突然届きます。送り主は、6年前に別れを告げることもなく去っていった、かつての恋人でした。初めて会った時のように、心が震えます。一度は惹かれあい、若い時間を共に過ごした大切な人は、今どのように過ごしているのだろう。次々といろいろな感情がこみ上げてきます。
 編曲は坂本龍一さん、ベースは細野晴臣さんです。松木恒秀さんのギタープレイは、佐藤正彦さんにとって「お手本」だそうです。あふれんばかりの感情をたたえた大貫さんのヴォーカルに呼応するように、松木さんの至宝の旋律が鳴り響きます。多くの人の心をつかんで離さない、松木さんの「合いの手ギター」をご堪能ください。(2022.03.04放送)
 
Just the Two of Us/グローヴァー・ワシントン Jr.
 スムーズジャズの父として知られるグローヴァー・ワシントン・ジュニアによる1981年の作品。ビル・ウィザースはゲストヴォーカルという位置付け。
 番組でも正彦さんが言及していますが、この曲のコード進行、いわゆる「Just the Two of Us進行」は、日本でもさまざまなヒット曲で使われています。
 サックス演奏はもちろん、 スティールパンやローズの音色も心地良い、大好きな曲です。(2022.02.25放送)
 
やさしさにGood-Bye/村田和人
 2月18日の音楽図鑑Ⅲは「トリビュート トゥ 村田和人」。ドラマーの 村田彼方さん、シンガーの佐野公美さん、キーボードプレイヤーの友成好宏さんを迎えてお送りします。
 すかがわデイズでは、アルバム「ひとかけらの夏」から「やさしさにGood-Bye」をご紹介します。村田さんの伸びやかで気持ちの良いヴォーカルの魅力が、この曲でも炸裂しています。クリーントーンの印象的なエレクトリックギターや12弦ギターの演奏は山下達郎さん。ドラムは青山純さん、ベースは伊藤広規さんと、タツローバンドの盤石のリズム隊。
 夢を追うために愛する人と別れるときの情景です。意を決してなされた心情の吐露の後に訪れるのは、言葉もなくただ過ぎていく沈黙の時間。波の音がその隙間を埋めるように、いつまでも鳴っています。 (2022.02.18放送
 
Valentine's RADIO/松任谷由実
 ユーミンは昔からずっと、ラジオ番組のMCを続けていますね。この曲も、自身が担当するオールナイトニッポンをモチーフにして作られたとのこと。
 ラジオの電波を擬人化したような歌詞が秀逸です。「夜の街を飛び交うラジオの電波に乗せた恋人への思い。眼下には地平線の果まで星屑のように散らばるラジオチューナー。夜風に乗って恋人の部屋を見つけると、ノックをするようにガラスを優しく叩く」。このみずみずしい感性こそが、ユーミンとこの曲の価値だと考えます。
 それに加えて、アレンジや演奏も大変素晴らしい。チューナーのダイヤルを放送局にあわせるイントロのエフェクトも効果的です。ギター演奏は、本日の番組で追悼特集をする松原正樹さん。(2022.02.11放送)
 
青春の輝き/カーペンターズ
 2月4日はカレンの命日。カーペンターズの名曲「青春の輝き」をお送りします。恋に臆病な女性の歌であり、このような歌詞があります。
  I know I need to be in love
  (分かっている 私だって恋をしなければ)
  I know I’ve wasted too much time
  (分かっている ずいぶんと時間を無駄にしてきたことも)
 恋に奥手な女性が過ぎ去った時間を悔やみ、自分を責める内容です。切なくて胸が締め付けられるようです。タイトルの「青春の輝き」とは、この女性がもう取り戻すことのできない、儚い夢を言い表しているのです。
 実は、吉田工務店にもカーペンターがたくさんおります。carpenterとは、大工の意味なのです。しかし、英語圏のcarpenterと日本の大工とでは、技能、道具、業務の範囲から社会的役割まで、大きく異なると考えています。(2022.02.04放送)
 
More Today Than Yesterday/スパイラル・ステアケース
 1月は「新しい」をテーマに名曲をご紹介しています。
  Every day's a new day in love with you
  (君に恋してから毎日が新鮮)
  With each day comes a new way of loving you
  (一日一日、君の愛し方を思いつく)
  Every time I kiss your lips my mind starts to wonder
  (君の唇にキスをする度にときめくこの気持ち)
  And if all my dreams come true
  (もし夢が何もかも叶うのなら)
  I'll be spending time with you
  (僕はいつまでも君と過ごすことだろう)
 私は、初めてこの曲を聞いてから、最近彼の歌唱シーンをYouTubeで視聴するまで20年以上も、このヴォーカルを女性だと勘違いしていました。伸びやかなハイトーンボイスを披露するのは、パット・アプトン。スパイラル・ステアケース解散後は、リッキー・ネルソンのバンドメンバーとしても活躍しました。(2022.01.28放送)
 
あたらしい朝/アン・サリー
 すかがわデイズでアン・サリーさんの曲をご紹介するのは、これで2度目です。全編に渡って温かく疾走感のあるギターとシェイカー(マラカス?)の伴奏が続くこの曲。一定のリズムをキープして緻密に奏でられるギターの美しい音色は、空が次第に白んで朝を連れてくる時間帯のすがすがしさを思わせます。
 暮らしの手帳の編集長を務めていた松浦弥太郎さんが、自身の旅にまつわる自伝的エッセイ集を映像化した、2021年公開の初監督映画「場所はいつも旅先だった」の主題歌にもなっています。(2022.01.21放送)
 
You Make Me Feel Brand New(誓い)/スタイリスティックス
 今週は、タイトルに「Brand New」とある、スタイリスティックスの名曲。1973年の曲です。
 エレクトリックシタールのイントロを聴いただけで、甘くとろけそうな気持ちになる、愛の名曲です。曲の途中で歌うメンバーが変わってファルセットボイスになりますが、どちらも凄まじい表現力で聞かせてくれます。
  きみは僕を真新しくしてくれた
  僕はこの歌を歌うよ
  君が僕を生まれ変わらせてくれたから
これだけロマンチックな曲なのに、I love you と言っていない、そう指摘する方もおりました。おもしろい視点だと思います。
 番組では、佐藤正彦さんからエレクトリックシタールの興味深いお話が聞けました。演奏していただく機会が、今から楽しみですね。
 最後に、You Make Me Feel Brand Newとかけて、冬場のトイレとときます。そのこころは、「誓い」。(2022.01.14放送)
 
NEW SONG/矢野顕子
 新年にちなんで、1月は「新しい」とか「NEW」をテーマに選曲をしました。一発目は矢野顕子さんのNEW SONG。1995年のアルバム『Piano Nightly』(ピアノ・ナイトリィ)全15曲の最後に収録されている曲です。
 学生時代に、スペースシャワーTVで「ピアノ・ナイトリィ」コンサートの模様が放送されました。運良く録画できたその番組のVHSテープは当時の私の宝物でした。自室の小さなテレビデオ(!)で何度見たかわかりません。以下のような内容が歌われています。
   暗闇の中、憂うつな日を過ごしてきた「わたしたち」。
  でもこれからは、そうした日を思い出さない。
  傷ついたこころや滲んだ涙は、もう跡形もない。
  やわらかな光に包まれて、「わたしたち」は街を離れていく…。
 こうした旅立ちの歌に、矢野さんが「新しい日々」とか「新しい世界」でなく、「新しい歌」というタイトルを与えたことの意味について、いろいろなことを考えずにはいられません。(2022.01.07放送)
 
L-O-V-E/ナット・キング・コール
  L is for the way you look at me
  O is for the only one I see
  V is very, very extraordinary
  E is even more than anyone that you adore can
 ナット・キング・コールの「L-O-V-E」は、あいうえお作文のような歌詞で歌われる、ジャズのスタンダードナンバーです。
 大晦日の音楽図鑑Ⅲは、赤組キャプテンつじむらゆみこさん、白組キャプテン佐藤正彦さんによる、赤白(あかしろ)歌合戦です。手嶌葵さんとナット・キング・コールの夢のような(!)対決、そして赤組と白組の対戦は、いったいどちらに軍配が上がるのでしょうか。(2021.12.31放送)
 
シーサイド ステート/つじむらゆみこ
 今月はつじむらゆみこさんのニューアルバム発売への「カウントダウン」の月でしたね。アルバム「アシタイロ~ポケットの中のみらい~」は、ちょうど音楽図鑑Ⅲの放送日である12月24日に、ウルトラFMエンターテインメントから発売されました。
 ニューアルバムは入手後にじっくり聴かせていただくとして、今回ご紹介するのは、つじゆみさんによる2011年のアルバム「瞳の中の君に届くうた」から「シーサイド ステート」。疾走感のある最高に心地よいウェストコーストサウンドは、ドライブにぴったりです。
 その他にも、アルバム「瞳の中の君に届くうた」の収録曲は、私のお気に入り「ソラノヲト」や、おなじみの「このまちにうまれて」をはじめ、名曲揃い。新譜への期待も高まるばかりです。皆さんもぜひ、つじむらゆみこさんの作品を聴いてみてください。(2021.12.24放送)
 
恋の十戒/ザ・ムーングロウズ
 12月の選曲テーマに沿って、数え歌のような構成の曲をご紹介します。原題は「Ten Commandments of Love」。ひとつ、決してほかの人を愛することなく、ふたつ、いつも私のそばにいて、みっつ、悲しみの中にも幸せを見出す…。このように、十の戒めが歌われています。
 山下達郎さんのアルバム「オン・ザ・ストリート・コーナー 2」には、この曲のカバーが収録されています。私も「オン・スト2」でこの曲を知りました。
 同年(昭和34年)の日本のヒット曲には、フランク永井と松尾和子の東京ナイト・クラブなどがあります。(2021.12.17放送)
 
人生の扉/竹内まりや
 12月はカウントダウンをテーマに選曲していますが、この曲はカウントアップと言えばよいのでしょうか。「人生の扉」は、20歳、30歳、40歳と(曲中では90歳まで)どんなに年を重ねてもその時々で前向きな気持ちで生きていきたい、そんな思いを歌った人生賛歌です(個人の感想)。
 歌詞の枠組みと曲の構成が見事にカチッとはまっています。刹那の恋や不倫の歌、女性の友情など、様々なモチーフを歌うまりやさん。この歌では、普遍的だけど主題にするにはとても難しいテーマに向き合い、そのメッセージを英語詩であくまでもセンス良くまとめあげました。心に染み入る一曲です。(2021.12.10放送)
 
スペイス・オディティ/デヴィッド・ボウイ
 12月といえば大みそかのカウントダウン。そこで12月はカウントをテーマに選曲しました。
 スペイス・オディティ(Space Oddity)は、デヴィッド・ボウイにとって初めてのヒット曲です。発売の前年に公開された「2001年宇宙の旅」(原題: 2001: A Space Odyssey)に触発されて制作しました。タイトルが似ているのはそのためです。
 宇宙飛行士のトム少佐が曲中、1小節毎のカウントダウンに合わせてサビ前のタイミングでちょうど離陸し、宇宙へ旅立ちます。そしてその後、ある出来事がおこります。
 電子楽器やストリングスなど、宇宙空間をイメージさせる音づくりが秀逸。2声のシンプルなコーラスワークも魅力です。その他にも、特殊な状況でのトム少佐と管制官とのやり取り、場面展開により生じる歌詞のダブルミーニングなど、非常に手の込んだ幕の内弁当のような曲です。(2021.12.03放送)
 
ナイトクルージング/フィッシュマンズ
 アルバム「空中キャンプ」の収録曲。学生時代に友人の影響で聴き始めたフィッシュマンズ。その繊細な歌詞や、ダブあるいはエレクトロニカという言葉を連想させるサウンドには、とにかく魅了されました。
 フィッシュマンズの音楽は、楽しくもはかないモラトリアムの日々を送る当時二十歳そこそこの私にとって、最も共感できる音楽であり、彼らの作り出す曲の世界は私の日常そのものでした。(2021.11.26放送)
 
瞳の中の愛(I Saw the Light)/トッド・ラングレン
 アルバム『Something/Anything?』に収録されている、トッド・ラングレンの代表曲。幻想的な英語詩は全編にわたり綺麗に韻を踏んでおり、不思議な曲調とあいまって、とても魅力的な曲になっています。
 トッドは、自分ですべての楽器を演奏しヴォーカルをとる自宅録音を70年代から行っており、元祖宅録アーティストとよばれています。この曲も、すべての楽器演奏とコーラスを本人が担当しています。
 また、数々の著名なミュージシャンのプロデュースも手掛けており、高野寛さんの代表曲「虹の都へ」もトッドのプロデュースによるものです。「♪きーみーとぼーくはー」という歌い出しで始まる同曲はMIZUNOスキーウェア「ケルビンサーモ」のCMソング。『ねるとん紅鯨団』を見ていた方にはおなじみでしょう。(2021.11.19放送)
 
頬に夜の灯/吉田美奈子
 和製シティポップの金字塔。私にとっては、仕事を終えて「さあ帰るぞ」というタイミング、緊張の糸が切れるときに聞きたくなる曲です。
 横文字のない、美しい日本語で紡いだ歌詞。陽が傾き、街の灯が次々と点灯して、仕事帰りの人々が通りにあふれて街中が一気に華やいでくる、そんな黄昏(たそがれ)時の都市の喧騒がありありと浮かんできます。奇跡のように美しい間奏のアルトサックスは、デビッド・サンボーンです。(2021.11.12放送)
 
Wanted Dead Or Alive/BON JOVI
 80年代にロックスターとして名声を得た彼らは、ライブツアーで世界中を駆け回ります。しかし、ステージ上の華やかな姿とは裏腹に、多忙な日々によって彼らは次第に疲弊し、追い詰められていきます。そんな彼らを取り巻く悲壮な情景を歌った曲です。「鋼の馬に乗ったカウボーイ」は夜通しプライベートジェットやリムジンに乗り世界を旅する彼ら自身であり、変わることなく延々と続くワールドツアーの過酷さは「空にした酒瓶を数えて、過ぎた月日を知る」と表現されています。まさに彼ら自身が「生死問わずの、おたずねもの」なのです。
 エブリイワゴンに乗ってお客様との打合せに向かうとき、私の気持ちはまさに「鋼の馬に乗ったカウボーイ」。毎晩たまっていくビールの空き缶は、自分が仕事に注いだ熱量を雄弁に語ります。「自分はお客様から、生死を問わず求められている」と歌うこの曲は、ビジネスマンとしての私のアンセムです。(2021.11.05放送)
 
夢を見る人/オリジナル・ラブ
 「街中の屋根が陽を受けて輝きだし 朝露に濡れた始発の列車が走る」。目がくらむような光線や、明け方の冷たく湿り気のある空気、線路のきしむ音さえも聞こえてきそうな秀逸な歌詞。ドラムの音色も特徴的であり、またストリングスのアレンジも素晴らしい。すべての「夢を見る人」に光をあてるこの曲は、ルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」に肩を並べる完成度です。このアルバムを最後に3名のメンバーがバンドを去るため、本作を収録した「レインボウ・レイス」はオリジナル・ラブにとってバンド体制による最後の作品となりました。(2021.10.29放送)
 
ヴェンチュラ・ハイウェイ/アメリカ
 イントロから続く疾走感のあるアコギのフレーズが有名な曲。ジャネット・ジャクソンの「Someone To Call My Lover」でもサンプリングされています。冬の寒さが厳しい田舎町からカリフォルニアへ向けて旅立つJoeという少年と、その傍らにいる人物との不思議なやり取りが描かれています。
 アメリカは、Billboard Hot 100 で1位を記録したファーストシングル「名前のない馬」でも知られています。私が「名前のない馬」を初めて聞いたのは、1986年のクリスマスイブに、桑田佳祐さんら豪華ミュージシャンが多数参加して制作された「メリー・クリスマス・ショー」というテレビ番組でした。(2021.10.22放送)
 
真夜中のドア~Stay With Me/松原みき
 日本発の「シティ・ポップ」が世界中で大きな支持を集める中、そのムーブメントの象徴として幅広く愛聴されている曲です。松原みきさんの伸びやかでせつないボーカルの素晴らしさはもちろんのこと、松原正樹さんのギター、後藤次利さんのベース、林立夫さんのドラム、ホーンやストリングスなどすべての楽器が、まるで果たし合いのような強度と精度でぶつかりあい、ものすごいグルーヴを生み出しています。作曲は、竹内まりやさんの「September」でも知られる林哲司さん。(2021.10.15放送)
 
I Wish You Love/アン・サリー
 もともとは「残されし恋には」の邦題で知られる、シャンソン歌手「シャルル・トレネ」による1940年代のヒット曲。英語詩の「I Wish You Love」はジャズのスタンダードですね。瑞々しい音色を奏でるナイロン弦ギターの演奏は、小沼ようすけさんです。(2021.10.08放送)
 
すてきなメロディ/シュガー・ベイブ
 サークル棟の扉を開けて外へ出ると、ひんやりとした風が頬を撫でる。夜空に広がるのは無数の星。そんな学生の頃の記憶がよみがえる、初秋の夜にぴったりの曲です。ツインボーカルの絶妙なハーモニーにもご注目。山下達郎さんと大貫妙子さんの共作。(2021.10.01放送)